夜間の市場動向
米国債10年物利回りが5.167%と2007年7月以来の高水準に達し、その波及効果が日本国債市場を直撃した。日本の長期金利は3%超の水準でしばらく推移しており、市場参加者は日銀の追加利上げペースに対する観測を急速に調整している。野村證券は9月、10月、12月での連続利上げシナリオを提示、もしもドル円が160円近辺でのもたつきが続けば、そうした強硬なスケジュールの実現性は高まるとしている。
長期金利の上昇圧力は、米国の経済指標強さとFRBのタカ派姿勢の組み合わせによってもたらされている。9月23日発表のS&P Global製造業PMIは5年ぶりの加速を示し、アナリストの目には「景気が十分なクッションを持っている」という印象を与えた。その結果、年内1回追加の利上げペースが市場合意となりつつある。
金融政策の分岐
日銀は連続利上げを示唆する一方で、連邦準備理事会はその先の見通しをも含めた強気なシグナルを発信している。こうした中央銀行間の政策スタンスの差異は、円相場の軟調を招いている。ドル円は157.59円で小幅低下しているが、年初来の値動きを見れば、供給制約によるエネルギー価格上昇が円売りドル買いを後押しした場面が多かった。
イランとの地政学的緊張が継続し、石油相場は1バレルあたり92ドル超での推移が続いている。こうした環境では、日銀の利上げペースがいくら速まろうとも、円買い需要が大きく浮上する見込みは限定的だ。むしろ米国の実質金利上昇が、相対的に日本の実質金利とのギャップを広げ続ける可能性さえある。
国債イールドカーブの急峻化
10年物が3.07%、30年物が4.16%と、両者の利回りが日中の取引で上下動を繰り返している。長期ゾーンの上昇が目立つのは、グローバルな実質金利を巡るニュートラルレート(自然利子率)の認識が上方修正されている証左である。
ただし、このイールドカーブの急峻化は、金融仲介機能に対する懸念材料にもなりうる。銀行セクターの収益性が改善する半面、高い借入コストは家計および中堅企業の投資意欲を冷やす可能性がある。
本日の焦点
米国の失業保険申請件数が発表される。日本では財務省が最新のJGB利回り曲線データと金融統計を公開予定。英国のギルト先物も中銀コメント待ち。アジア株式市場は米国の経済統計と金利観測に一喜一憂する展開が予想される。
一つの数字
3.08% — 日本10年物国債利回りが達した高水準。これは約30年ぶりの高さであり、グローバルな金利環境と日銀の正常化シナリオが同時進行する局面を象徴している。
一つの読み物
なぜ野村は日銀による連続利上げの可能性を示唆するのか、そしてそのシナリオが年内の円相場にどのような含意をもたらすのか。日本の金融政策が「グローバル金融サイクルの周辺部」から「中央の参加者」へと立場を転じつつある背景を読む。関連記事:日銀のポリシーミックスと円相場の行方