10月1日から、いくらになるのか
出入国在留管理庁は、2026年10月1日から在留許可手数料を改定する。同庁は法務省の外局で、入国審査と在留資格の審査を担う。根拠になるのは令和8年政令第268号「出入国管理及び難民認定法施行令及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法施行令の一部を改正する政令」で、e-Govの法令データには公布2026年8月28日、施行2026年10月1日と記録されている。
同庁が2026年9月に発行したリーフレット(在留許可手数料の額の改定について)から、改定前と改定後の額を並べる。窓口申請とオンライン申請で額が違うので、両方を置く。
| 許可期間 | 改定前 窓口 | 改定前 オンライン | 改定後 窓口 | 改定後 オンライン |
|---|---|---|---|---|
| 3月以下 | 6,000円 | 5,500円 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3月超6月以下 | 6,000円 | 5,500円 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6月超1年未満 | 6,000円 | 5,500円 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 6,000円 | 5,500円 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 6,000円 | 5,500円 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 6,000円 | 5,500円 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 6,000円 | 5,500円 | 75,000円 | 65,000円 |
| 永住許可 | 10,000円 | — | 200,000円 | — |
(2026年9月発行の出入国在留管理庁リーフレット「在留許可手数料の額の改定について」より)
読み方は三つある。第一に、これまで在留資格の変更許可と在留期間の更新許可の手数料は、在留期間にかかわらず一律だった。窓口6,000円、オンライン5,500円。10月1日からは、許可される在留期間で額が決まる。第二に、最短の「3月以下」以外はすべて上がる。第三に、永住許可は20倍になる。
永住許可の欄にオンラインの額がないのは、同庁の手数料表がそこにオンラインの欄を設けていないためだ。永住許可は窓口で出す申請である。
9月30日という線
この改定で、まず知るべきことは額ではない。受付日である。
同庁のページは「改正後の手数料は2026年10月1日以降に受付をした申請に適用されます」と書き、続けてこう注記する。「2026年9月30日までに受付をした申請については、当該申請に係る許可又は交付が10月1日以降となっても、改定前の手数料による納付となります」。
つまり9月30日までに受け付けられていれば、許可が下りるのが10月でも11月でも、払うのは旧額の1万円でよい。受付日は「申請受付仮番号」または「申請受付番号」のお知らせメールで確認する、と同庁は案内している。
この線が効くのは、永住許可の標準処理期間が4か月から6か月だからだ(同庁の永住許可申請のページ)。夏に出した申請の許可が秋に来るのは普通のことである。逆にいえば、10月1日以降に受け付けられる申請から新しい額が適用される。
減額される場合
上げ幅の全部を払わなくてよい人もいる。同庁は「在留許可手数料の減額措置又は免除措置」のページで要件を公開している。
減額の対象になり得るのは、「生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に生活に困窮していると認められる者」であって、かつ「人道上の配慮をする必要があるもの」。両方に当てはまらなければならない。前者には生活保護の取扱いに準じた保護を受けている者など4類型、後者には難民や補完的保護対象者、人身取引等の被害者など12類型が、令和8年8月のガイドラインに列挙されている。
減額後の額は、在留資格の変更の許可が1万円、在留期間の更新の許可が1万円、永住許可が2万円である。
永住許可には追加の限定がつく。減額の対象となるのは「日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子等」に限られ、要件に該当するかどうかは資産状況や在留状況等を踏まえて個別に判断される。
オンライン申請は減額措置に対応していない。減額を求めるなら窓口で出すことになる。
免除はさらに狭い。外交又は公用の在留資格への変更を受ける者、公用の在留資格で在留期間の更新を受ける者、台湾日本関係協会や駐日パレスチナ総代表部の職員などである。
永住許可のガイドラインは、まだ「案」である
ここが、この10月の話でもっとも取り違えられている点だ。手数料と同じ時期に永住許可の中身も変わる——という書き方が流れている。同庁の文書を読むかぎり、そうではない。
出入国在留管理庁は2026年8月4日、「永住許可に関するガイドライン」の改定案を公表し、e-Govで意見公募を始めた。受付は9月4日0時に締め切られ、e-Govの案件ページは「すでに意見募集は終了しています」と表示する。改定案は案のままで、正式なガイドラインはまだ公表されていない。
改定案が審査の考慮要素として挙げるのは、次の四つである。世帯年収の額が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達していること。将来の年金受給見込額が、その年収水準で30年間厚生年金に加入していた場合の見込額に達していること(不足分は金融資産で補える)。「日本語教育の参照枠」のB1相当レベル以上の日本語能力。そして、日本人・永住者及び特別永住者の配偶者の特例を、婚姻3年・在留1年から婚姻5年・在留3年へ引き上げること。
適用時期は、改定案の第6にこう書かれている。「本ガイドラインの改定は令和9年4月1日以降の申請から適用します」。ただし例外がある。第2の4(2)(収入)と第2の5(7)(公共の負担とならないこと)は、「本ガイドラインの改定日から6か月前の日以降の申請であって、かつ、改定日において申請中である案件」にも適用される。
そして、その「改定日」が書かれていない。公表された改定案の表紙は「(最終改定令和8年○月○日)」で、月日が伏せられている。改定案の文書に、改定の日付はない。
いま効いているガイドラインは令和8年2月24日改訂のもので、配偶者の特例は依然として「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること」と書く。日本語能力も平均世帯年収も、そこには考慮要素として出てこない。同ガイドラインには、在留期間「3年」を最長の在留期間として扱う経過措置が令和9年3月31日まで、という注記がある。
10月1日に変わるのは、手数料である。
法律と政令の日付
順に置く。手数料の上限額を引き上げたのは令和8年法律第32号、正式には「出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第2条第5号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律」。e-Govの法令データでは公布2026年6月5日、施行2026年10月1日。この法律が、在留資格の変更及び在留期間の更新の手数料の上限を10万円、永住許可の上限を30万円にした。
具体的な額を決めたのが、令和8年政令第268号。公布2026年8月28日、施行2026年10月1日である。あわせて出入国管理及び難民認定法施行規則が2026年9月1日に公布され、オンライン申請で受け付けた案件の納付方法は、出入国在留管理庁長官が指定する決済代行事業者への委託に変わった。従来の収入印紙による納付は、オンライン申請ではできなくなる。
同庁は9月7日付の「在留許可手数料に関するお知らせ」で、9月30日までに在留諸申請を行えば、許可が10月1日以降になっても改定前の額が適用される、と改めて書いた。
数字を並べる
永住許可は1人20万円である。4人がそれぞれ申請すれば80万円。改定前は1人1万円だったから、差は1人19万円、4人で76万円になる。
窓口で払うなら収入印紙である。同庁のページは「収入印紙の購入方法は現金のみですので、ご注意ください」と書き、各地方出入国在留管理官署の売店やコンビニエンスストアでは在庫に限りがあるとして、事前に規模の大きな郵便局で買ってから来るよう求めている。4人分の80万円は、現金で用意する話でもある。
札幌弁護士会は2026年7月27日の会長声明で、この点を先に指摘した。永住許可手数料20万円について、家族4人であれば合計80万円に達し、「家賃、教育費、医療費その他の日常生活費と競合する」と書き、低所得世帯やひとり親世帯の生活の安定を著しく困難にする制度だと述べている。手数料の額そのものは行政が決める。この計算と評価は、7月27日付の同会の文書のものである。
もう一つ、窓口とオンラインの差も並べておく。オンラインには決済手数料が別途かかる。1万円から4万2千円までの帯は330円、5万6千円と6万5千円の帯は550円である。そのため最短の「3月以下」では、窓口の1万円に対してオンラインは1万330円となり、オンラインのほうが330円高くなる。差がつくのは長い在留期間の帯で、「5年以上」なら窓口7万5千円に対してオンライン6万5千550円と、9,450円安い。
香港の読者にとって
香港と日本、シンガポールを行き来しながら、どこに生活の拠点を置くかを比べている家族にとって、この改定は「引っ越しの値段」ではなく「定着の許可の値段」を動かす。
永住許可は1人単位である。世帯で1本ではない。4人の家族なら4本の申請が出て、4人分の手数料がかかる。しかも窓口申請に限られる。香港で暮らしながら日本の在留資格を維持してきた人が、家族をまとめて日本に寄せる決断をするとき、その見積もりに入る一行が、1万円から20万円に変わる。
9月30日の線は、引っ越しの予定表に直接効く。この秋に申請を出そうと決めていた家族にとって、9月中に受け付けられるかどうかが、1人あたり19万円の差になる。家族4人なら76万円の差である。書類がそろっているなら、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の受付時間(平日午前9時から正午、午後1時から4時)を確かめてから動く価値がある。
日本側の予定表は、この秋、手数料だけではない。税の側では国税庁の基幹システムが9月24日にKSK2へ替わる。書類を出す窓口が止まる話は、KSK2は2026年9月24日稼働——出国と海外資産は何と突き合わされるのかが扱っている。ここでは繰り返さない。
次に見る日
9月30日が、旧額で出せる最後の受付日である。10月1日から、窓口で受け付ける申請の手数料は新しい額になり、必要な収入印紙の額面も変わる。オンライン申請は収入印紙で納付できなくなり、コンビニ決済か銀行決済に限られる(クレジットカード決済とQRコード決済には対応しない)。
その先で見るのは、永住許可のガイドラインの正式版である。改定案の意見公募は9月4日に閉じた。案は「令和9年4月1日以降の申請から適用する」と書きながら、その前提になる改定日を書いていない。正式なガイドラインが公表され、そこに日付が入る日——20万円を払う人と、払わないで済む人の境目は、そこで決まる。