一晩の動きを五分で。香港デスクからお送りする。

欧米市場

水曜の米株は小動き。S&P500は7,600前後、ナスダックは26,000前後と、方向感に欠ける今週の中盤をそのまま映した。米10年国債利回りは5%近辺。株式が休んでいる間も、金利差という磁場は動いていない。

アジアと欧州

東京は日経平均が64,000に近い水準で一進一退。円安が輸出株を支える半面、為替の足元をにらむ売りも出る。香港は24,800前後で薄商い。欧州はまちまちで、この日よく動いたのは株式より為替だった。

為替・金利・商品

主役は円だ。ドルは154円台に乗せ、ユーロは1.16ドル前後、ポンドは1.35ドル前後。米金利が高いところに張り付き、円の調達コストは低い。その差を抜くキャリー取引——円で借り、高利回りの資産へ回す——が、静かに組み直されている。金は4,300ドル前後の高値圏、原油は100ドル前後でもみ合い。

巻き戻しの教訓と三つのシグナル

前回のキャリー巻き戻しが示したのは、こうした取引は壊れるときに一斉に壊れるということだ。引き金はたいてい小さな意外で、出口は思うより細い。木曜は材料に乏しい。だからこそ、編集部が見ているのは値段より構造だ。一つ、日銀のガイダンスと、それに敏感に動くスワップ金利。二つ、円先物のポジション。投機的な売りが積み上がるほど、反発は速くなる。三つ、クロスカレンシー・ベーシス。資金調達のひずみは、ここに最初に表れる。

今日の一数字

154——ドル・円の水準。為替の数円の変動は、キャリーの薄い利ざやをあっという間に食い潰す。数字そのものより、この水準で積み上がった持ち高のほうが大事である。

今日の一読

キャリー取引は利益を稼ぐのではなく、利息を借りている。借り物は返す。編集部の見方は簡単だ。この取引は持ってよい。ただし大きさは、入るときの楽観ではなく、出るときの混雑で決めること。154円は警告ではない。だが点検の合図ではある。