金は1オンス4,346.20ドル。この数字は2026年9月18日07時15分(HKT)時点の瞬間値であって、引け値ではない。サイトのティッカーがそう記録している、というだけの水準だ。同じティッカーはこの欄について変化率を出していない。
記録は1〜3月にあった。ロンドンのLBMA価格はこの四半期に四半期平均で過去最高をつけ、4〜6月の平均はそこから8%下がって4,506.29ドルだった(ワールド・ゴールド・カウンシル「Gold Demand Trends Q2 2026」、7月30日公表、データは6月30日現在)。いまの水準は、その4〜6月平均よりさらに下にある。
下げた理由は本稿では書かない。デスクに見えているのは水準だけである。
中央銀行——方向だけが読める
公的部門の買いは続いている。同じ四半期報告は、中央銀行が4〜6月に「過去4年間で常態となった高水準」へ買いを戻したと記録する。1〜3月には目立った減速があった。通年の見方も示されており、それによれば「堅調な年になるが、2025年は下回る」。
ここで数字を並べないのは、並べられないからだ。公的部門の保有は各国がIMFに報告した統計の集計であり、ワールド・ゴールド・カウンシルの「Gold Reserves by Country」はIMFの国際金融統計(IFS)から作られている。IFSは2か月遅れで届くため、多くの国の保有は6月時点、報告の遅い国は3月以前で止まる。このページの更新は2026年9月3日、データは6月30日現在である。
つまり方向は読めても、今日の姿は誰にも見えない。同じ理由で、次の公表も毎月上旬に2か月遅れで届く。中央銀行が昨日いくら買ったかを断定的に書いた記事があれば、それは公開統計ではない。
店頭の現物
国内の入口は三つある。まず店頭だ。
田中貴金属工業が公表した9月17日17時(日本時間)の価格では、金の店頭小売価格が1グラム24,125円(税込、前日比+444円)、店頭買取価格が23,576円(同+251円)。売りと買いの差は1グラム549円ある。24,125円で買った人が同じ日に売り戻せば、約2.3%が消える、という計算になる。同社の注記どおり、これは1グラムあたりの税込価格で、別途手数料は含まない。
1オンスのウィーン金貨ハーモニーになると、小売796,021円、買取717,186円。差は78,835円に開く。コインの往復は地金より高い。
上場信託と先物
二つめは国内保管の上場信託である。東京証券取引所の商品説明(2026年2月27日現在)によれば、「純金上場信託(現物国内保管型)」の管理会社は三菱UFJ信託銀行、純資産総額は1兆9,256億円、受益権口数は77,378,737口、信託報酬は税込0.44%で分配は原則ない。対象指標は大阪取引所の金先物価格から計算した金1グラムあたりの理論価格で、円建てのグラム単位で動く。一定の受益権と引き換えに現物の地金を受け取ることもできる。
同じ資料の過去1年騰落率は+89.38%、参考値のTOPIXは+46.85%だった。金価格が上がれば残高は膨らむ。純資産総額という数字はその結果であって、国内勢が買い増した証拠にはならない。ここは分けて読みたい。
三つめは先物だ。大阪取引所には金標準先物、金ミニ先物、金限日先物がある。JPXの市場ハイライト(2026年1〜3月)は、これらの取引主体を証券会社、都銀・地銀等、信託銀行、投資信託、生保・損保、事業法人、個人、海外投資家に分けて集計している。現物の置き場ではなく、期間と証拠金で取る場所である。
なお、上場信託の最新の残高は取引所ではなく管理会社が公表する建て付けになっている。取引所が9月11日付で出している一覧でも、純資産総額の開示先は管理会社のウェブサイトとされている。
次に読めるもの
次の公式統計は毎月上旬、2か月遅れで届く。公的部門の買いがそこでも続いているかどうかが、最初に確認できる点だ。
国内側は各入口の公表値が続く。店頭の往復コスト、上場信託の信託報酬、先物の証拠金。金そのものの値段は誰にも決められないが、どの入口から持つかは持ち主が決める。549円の往復は、相場がどちらへ動いても同じように残る。