令和8年9月現在、東京のプライム住宅の値段は、まだ上の方向を向いている。国土交通省の令和8年地価公示(2026年3月17日公表、価格時点は同年1月1日)で、23区の住宅地は対前年9.0%上昇し、上昇幅は前年の7.9%から拡大した。最も上がったのは港区の16.6%である。

価格は公表値が語っている

全国の住宅地は5年連続の上昇で、東京圏と大阪圏では上昇幅が拡大した(同公示)。新築の現場はもっと速い。不動産経済研究所の首都圏新築分譲マンション市場動向(2026年8月20日公表の7月分)で、都心6区の平均価格は4億3,699万円、㎡単価は556.1万円。首都圏全体の㎡単価は236.9万円で、前年同月比の上昇が15ヵ月連続となった。首都圏全体の平均価格も1億6,493万円で、同調査の最高値を更新した。もっとも平均価格は月ごとの物件構成で大きく跳ねる。6月の都心6区は2億1,430万円だった。一方で㎡単価の連続上昇は崩れていない。

供給の出方が違う

香港ピークは新しい土地が出ず、区画は固定のまま、値段は売り手の都合で決まる(本誌既報)。東京の超一級は逆で、再開発と分譲マンションというかたちで「供給される」市場だ。7月の首都圏の発売は2,145戸、うち都心6区で440戸(同市場動向)。販売在庫は7月末時点で6,597戸と2ヵ月連続で増えた。国土交通省の建築着工統計調査(8月31日公表の7月分)でも、新設住宅着工は前年同月比8.2%増だった。売り手は一族ではなくデベロッパーで、値段は売り主の人生ではなく事業計画が決める。供給が止まらない市場では、価格の天井は買い手の側で試される。

金利の効き方が違う

日本銀行は2026年6月16日、無担保コール翌日物の誘導目標を1.0%程度に引き上げ、7月31日の会合で据え置いた(いずれも日銀公表文)。ピークの持ち手が低レバレッジの現金層なら、東京のプライム層にはローンを使う買い手が混ざる。金利1%の市場は、金利ゼロの市場とは計算が違う。ただし公表値の範囲では、地価も分譲単価も上昇幅を縮めてはいない。

税制と物差しが違う

香港は2024年に住宅の需要抑制措置を一括撤廃し、取引の扉は開いたままだ。日本では地価公示が相続評価と固定資産税評価の基準とされる(国土交通省)。超一級の資産価値が上がれば、課税の物差しも毎年更新されて追いかけてくる。持ち手の負担の形が、そもそも違うのである。

この先も読むべきものは決まっている。基準日7月1日の都道府県地価調査と、月次のマンション市場動向だ。東京のプライム住宅について書けるのは、予測ではなく、次の公表値が並べ直す事実だけである。